ある朝、スタッフがいつものように南海日日新聞HPを開くと、農水省で郷土料理人気投票をやっているとの見出しが目に入った。
「鶏飯は現在13位、か…」
なんでも、日本全国の郷土料理を人気投票でランキングするらしい。
これは、もしかしたら奄美をアピールするチャンスなのでは…?
そう思ったスタッフは、試しに鶏飯に投票してみた。
あがった。
しかも、かなりの差が反映されていた。
これは、いける。
スタッフ総出で投票をした。
もしかしたら、トップも狙えるかもしれない。
そんな、僅かな期待を胸に…。
そして、それまでのトップ画像を人気投票を訴えるものに差し替え、サイトでの反響を待った。
スタッフたちは、どきどきしていた。
もしも、これがきっかけで上位にくいこんだとしたら。
うれしさもあるが、これはウラ操作にならないのだろうか?
農水省は、これに気づいて不正行為とみなすだろうか・・・?
順位が上がるにつれて膨らんでいく不安を、スタッフは押さえ切れなくなっていた。
「はい、農林水産省農村振興局農村政策課です」
問い合わせ番号への電話。
スタッフは、不安を包み隠さず告白した。
担当の方は、丁寧にこういってくれた。
「みなさんにこの企画を知っていただけることがありがたいので、そういう宣伝をしていただくのはかまわないですよ」
目の前が、晴れたような気がした。
それからというもの、鶏飯はわれわれの気持ちを汲み取ったかのように猛追をつづけ、3位につけた。
1位いも煮、2位きりたんぽ。どちらも、全国的にメジャーな郷土料理。
じわじわと差をつめる鶏飯は、その後きりたんぽを抜き去り2位に浮上。
その後は大きく引き離し、事実上1位のいも煮との一騎打ちとなる。
しかし、さすがにいも煮は強かった。
追いつこうとすると、引き離される。シーソーゲームだ。
「2位でも十分なんじゃないか」
そんな編集スタッフに、
チーフマネージャー清水はこう言い放った。
「1位じゃなければ意味がない」
スタッフの目が覚めた。
『ナンバーワンはゆずらない』とのスローガンを掲げ、最後まで戦おうと決めた。
そして、投票期限が明日に迫った9日23:30。
「抜いた!!」
それは、一人のスタッフからのメールだった。
投票最終日10日の朝、事務所につくと急いでサイトを開くと、確かに抜いている。鶏飯が、しかし僅かの差ではあったが1位に躍り出ていた。
スタッフは興奮を隠せなかった。
誰もが、鶏飯のトップを確信した。
だが午後になって、またしてもいも煮に抜かれ2位に転落。
残りあと半日。
あとは、全国のあまみんちゅたちの力を信じるしかなかった。
そして、運命の最終日が、幕を閉じた。
鶏飯、トップのいも煮と僅かな差で、2位。
しかし、3位のきりたんぽとは圧倒的な差をつけての2位だった。
最初のランキングから、小さな群島・奄美の鶏飯は、全国2位に上り詰めた。
それは、もちろん、スタッフの尽力もあったかもしれない。
もちろん、全国のあまみんちゅや奄美ファンたちの思いだったかもしれない。
でも、その気を起こさせてくれたのは、まぎれもなくいも煮だった。
トップを独占し続けた、いも煮のおかげだった。
最終日の明くる日、トップページをこんな言葉が飾っていた。
「いも煮がいたから頑張れた」
(完)